こんにちは、デイサービスセンターちとせです。
理学療法士というと、「歩く」「立つ」といった体の動きをサポートする
専門家というイメージが強いかもしれません。しかし、私たちが最も大切にしているのは、
ご利用者様が「ご自身の力で、安全に、豊かな生活を送る」ことです。
その豊かな生活を送る上で、「食べる」という行為は欠かせない喜びであり、栄養源です。
私たちが提供する機能訓練は、この「食べる」という動作を最後まで安全に、
美味しく行えるように支えることにも繋がっています。

今回、皆様にぜひ知っていただきたいのが、「口腔ケア(お口のケア)」の本当の重要性です。
単なる「食後の歯磨き」とあなどるなかれ。
この口腔ケアが、誤嚥性肺炎の予防だけでなく、皆様の全身の健康、認知機能、
そして心の元気にまで深く関わっているのです。
このシリーズでは、3回に渡り機能訓練指導員である私の視点から、
口腔ケアがなぜ「命を守る新常識」と言えるのかを、分かりやすく解説していきます。
1.なぜ今、「口腔ケア」が重要視されているのか?

「お口の中のケア」が、なぜこんなにも注目されているのでしょうか。
その最大の理由は、高齢者の健康を脅かす重大なリスクに深く関わっているからです。
① 高齢者の命を脅かす「誤嚥性肺炎」の影
誤嚥性肺炎は、高齢者の方の死亡原因の上位に位置する大変恐ろしい病気です。
これは、食べ物や唾液などが誤って気管に入り、肺で炎症を起こすことで発症します。
問題は、誤嚥によって気管に入り込む「異物」です。
多くの場合、それは食べカスではなく、「口腔内に存在する細菌」なのです。

② お口の細菌は「万病の元」
歯の表面や舌、入れ歯などに付着しているプラーク(歯垢)には、
信じられないほどの数の細菌が潜んでいます。
の数は、わずか1gのプラークに億単位と言われています。
この細菌の塊が、飲み込みの力が弱くなった拍子に、唾液と一緒に気管に流れ込んでしまうと、
肺の中で繁殖し、深刻な肺炎を引き起こします。
つまり、口腔内を清潔に保つことこそが、
誤嚥性肺炎という命に関わるリスクを遠ざけるための、最も強力な予防策になるのです。
次回、「誤嚥性肺炎予防の「3つの柱」」を綴ります。
お楽しみに!

